FAQ

学生「先生の講義の第1講で、期末試験は試験前にあらかじめ5つの課題を提示しておき、本試験においてその中から2つの課題を出題して、回答しやすそうな課題を1つだけ選択回答するという説明をされましたが、年内の講義は今日までなのにまだ課題が1つも提示されていません。これはどういうことですか?」

回答「年内の授業は今日が最後ですが、今年度の授業は2月の第1周まで続きます。したがって、クリスマスや正月をゆっくり過ごして、リフレッシュしてください。心配しなくても、来年の年はじめの講義で課題は5つ出しますので、そのあとにきちんと復習していただければ十分だとおもいます。」

学生「今回、先生と授業中に観賞したスタンリー・キューブリック監督の「博士の異常な愛情」でゲーム理論に興味を持ちましたが、ゲーム理論をもっと理解するためにはどのような本を読めばよいのでしょうか?」

回答「レジュメに挙げた長谷部先生の新書をきちんと読めば、わたしの授業内容でのゲーム理論の理解は十分だと思います。ただし、本当に理解したいならノイマンの原著を読めとか、ゴーチェの原著を読めとか言いたいけれど、一応のお勧めは竹田茂夫『ゲーム理論を読みとく―戦略的理性の批判』(ちくま新書、2004年)、梶井厚志『戦略的思考の技術―ゲーム理論を実践する』(中公新書、2002年)それと松井彰彦『高校生からのゲーム理論』(ちくまプリマー新書、2010年)だとおもいます。」

学生「先生はこの授業は少人数だから、今年はお疲れ会を兼ねて洋食のディナーを食べさせてくれると言いましたが、もうすぐクリスマスです。いつ、食べに連れてってくれるのですか?」

回答「お疲れ会ということは、忘年会のことではありません。つまり、みんなが第16週の期末試験が終わった後、ゆっくりとディナーを楽しむということです。わたしとしては、大学南側のaurore de la vieを候補にしています。したがって、みんなの試験終了を待って、時間調整をし、幹事を決めてお店の予約をとってください。ま~、安月給ですが10名前後ならばわたしが奢りますので、後のこまごまとした仕事をたのみます。それと、この店の予約が取れなかった場合、次候補の店を考えてください。居酒屋は安いようでいて少人数では結構お金がかかるので、わたしとしては敬遠したいところです。」

学生「コンドルセの定理がよくわかりません。」

回答「わたしもよく分からないが、長谷部先生の別の説明を抜粋すると『ある集団のメンバーが、2つの選択肢のうち正しい方を選ぶ確率が、メンバー全体で平均して2分の1を超えており、かつ、各メンバーがお互いに独立に投票するならば、その集団が単純多数決によって正しい答えに達する確率は、メンバーの数が増すにつれて増大し、極限的には1、つまり100パーセントとなる。逆に、メンバーが正しい選択肢を選ぶ確率が平均して2分の1を下回っているならば、集団が多数決によって正しい答えに到達する確率は、メンバーの数が増えるにしたがって減少し、ゼロに近づく』(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』(ちくま新書、2004年)27頁)ということのそうだ。とどのつまりは、人間というものは少数派に転落したくないので心理的要素が働き、勝ち馬に乗るということは分かるのだが、心理学を専門に研究したことはないので間違っているかもしれない(長谷部先生は、他の説明の部分で雪崩現象を使っているからこれで間違いないと思うのだが)。ただし、コンドルセはフランス革命の敗者だから、この理論は彼自身には通用しなかったということになる。コンドルセとの対比で、ラプラスがあげられるが、これは『ラプラスの悪魔』として知られるように決定論に基づくものなので、こちらも純粋数学的に考えるというよりもフィーリングのような気がする。いずれにせよ、大学生なのだから、少しはカッコをつけて自分なりの説明はできるようにしてください。」

 

学生「お正月休みに何を読めばいいでしょうか?」

回答「わたしは、注文しちゃたから高橋信行『統合と国家―国家嚮導行為の諸相』(有斐閣、2012年)、長尾一紘『基本権解釈と利益衡量の法理』(日本比較法研究叢書、2012年)、佐藤賢一『小説フランス革命』Ⅶ~Ⅸ(新潮社、2012年)および木村草太『キヨミズ准教授の法学入門』(星海社新書、2012年)を読むけれど、君たちはシェークスピアの三大悲劇、スイフト『ガリバー旅行記』、ビクトル・ユーゴ『レ・ミゼラブル』、デュマ『三銃士』など読んでいなければ読んでみてください。意外と、君たちの先輩はサラリーマンになると池波正太郎や山本周五郎を読みだすので、いまのうちに世界の名作全集に入っていたような作品の中から本格的な翻訳本を読んでおくといいとおもうよ。」

学生「先生はお疲れ様会でフランス料理店が予約できなかった場合、甲羅屋で蟹を食べると言いましたが、わたしは蟹アレルギーです。どうすればよいでしょう。」

回答「世の中はあなたを中心に動いているわけではありません。したがって、蟹料理屋であっても他のメニューがあると思いますから、それを選んでたべてください。」