非嫡出子の法定相続分

2013年07月10日 12:27

 7月10日の備忘録。

 午後2時40分から、法学演習の講義を行う。

 いつもと同じメンバーの3名と、わたしの都合4名で仲昌昌樹『カール・シュミット入門講義』(作品社、2013年)を輪読する。最初、わたしはp.123から読み始めるのかと思っていたが、ゼミナリスティンの指摘によりすでにp.132まで読んでいたことが分かり、どうにか予定通りにp.148まで読み進み、「講義 第二回」を読み終わることができた。この部分については、先週のデカルトの心身二元論批判としての「機会原因論」の勉強が役に立った。しかし、シュミットの『政治的ロマン主義』はドイツ・ロマン主義文学作品をあまり読んでいないので、その法学的・哲学的内容よりも文学史的内容をほとんど理解でない。こういうことが、わたしの教養(Bildung)のなさということになるのかもしれない。

 

 

 

 

   午後5時前後に、バスに乗って帰宅する。全体的に、身体が重い感じがする。

   今日のニュースで職業柄、興味深いのは非嫡出子の法定相続分についての最高裁大法廷での弁論ということになろう。

   未婚の男女間に生まれた非嫡出子(婚外子)の遺産相続分を嫡出子の半分とした民法の規定の合憲性が争われている裁判で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允(ひろのぶ)長官)の弁論が10日開かれ、婚外子の男性自ら出廷し、「どの親から生まれるかは自分の意思ではどうにもできない。出生で差別されるのは不合理で違憲だ」と訴えた。

嫡出子側は「法律婚を尊重した規定には合理性がある」と反論した。

 同日午前に弁論があったのは、2001年7月に死亡した東京都の男性の遺産分割を巡る家事審判。婚外子が嫡出子と同等の相続分を求めたが、1審・東京家裁、2審・東京高裁とも、規定を合憲と判断。婚外子側が特別抗告していた。

 明治時代に制定されたこの規定については、大法廷が1995年の決定で合憲との判断を示したが、この日の弁論で婚外子側の代理人の弁護士は「この決定後、海外で同様の規定が次々と廃止されるなど、国際的な環境が大きく変化している」と指摘。「婚外子へのあらゆる差別の要因となっている規定には、もはや存在意義がない」と訴えた。

                                                  (2013年7月10日16時52分読売新聞)

  かつて、本務大学の試験で民法900条4号但書が憲法14条・24条に照らして違憲ではないか否か論ぜよ、という問題を「シスター・プリンセス」の登場人物をアレンジした事例で出題したことがある。もちろん、これはサザエさんをアレンジして使用してもよい。しかし、後者を採用した場合、とくにサザエさんがフネの連れ子であるというフクニチ設定にすると「犬神家の一族」のようになり、生々しくなるから、荒唐無稽の「シスプリ」を素材にした。

 

 

   

  ま~、実際の非嫡出子法定相続分違憲訴訟では、非嫡出子の人数の方が嫡出子の人数よりも少ないことが多い。しかし、シスプリにおいては相続人に海神航くん、および航くんの外交官であるお父さんが外部で作らせたと思われる9人の妹(「非血縁モード」の存在から推定)だけではなく、さらに3人の海外から来た妹が加わることにより、嫡出子である航くんの相続分が相当シビアに削られることになる。たとえば、嫡出子1人に対して非嫡出子2人であれば、嫡出子と非嫡出子の取り分は1:1ということになる。しかし、仮にシスプリのように妹と称する12人の妹がすべて非嫡出子であったならば、航くんと12人の妹の相続比は1:6ということになる。1人においても、犬神家の松子、竹子および梅子の三姉妹が血みどろの抗争を行うのであるから、海神家の相続争いは熾烈なものになることが予測できる。これに、日本のアニメ、外国人の嫌う設定としての両親の不在が加わるので、事案の説明がしやすくなる(推定死亡か、失踪宣告)。←おいおい、遺産相続の火に油をそそいでいるのか、とのご批判を受けそうではあるが。

 ちなみに、外人の嫌うアニメの両親の不在とは以下のものである。

 

 

 主人公に親がいない

ドラゴンボールの孫悟空、NARUTOのナルト、フルーツバスケットの本田透には両親がいない。BLEACHの黒崎一護、エヴァンゲリオンの碇シンジには母親(ユイ)がいない。←しかし、設定では彼女の魂は初号機の中で消えることなく生き続けている。

 

日本のアニメの主人公の約半数は両親がおらず、残りの35%は片親に育てられている。
 

 

  上の家計図からも明らかなように、佐兵衛は違った妻に3人の娘を産ますだけではなく、野々宮大弐の娘祝子との間に珠世を産ませ、さらに青沼菊乃に静馬を産ませている。松子、竹子および梅子の母親も正式に娶ったわけではないことが、犬神家の悲劇を招くことになる。

  非嫡出子の法定相続分については、非嫡出子側の自分の意思ではどうにもできない理由による差別との主張も正しいものであり、さりとて一夫一婦制度を中核とする法律婚制度も、このような例外のために廃止してしまうことは性急なものであるということになろう。結局は、人権と婚姻制度という公益との比較衡量によって解決するしかないのではないか。

  ちなみに、このような事案の判例を読んでいると「試婚制」などの旧習に基づく事案にぶつかることが多い。また、意外と農家における女相続人の地位が高いことも分かってくるから面白い。もっとも、訴訟当事者にとっては切実な問題であるので、面白いなどと言って片付けられるのは心外であろう。→湯川学のような意味での「実に面白い」というように理解していただきたい。

 

  

 

  帰宅後、ニコニコ動画でウルトラマンを2話鑑賞した。

  

    またまた、円谷得意の核物質で怪獣を釣る。←危ないからやめなさい!!

     

          ゴジラのぬいぐるみを転用して作られたジラース。驚いたのは、中村博士の正体が二階堂教授であったとは。

    しかし、中村博士は「ジェラシックパーク」のサム・二ールが演じていた博士よりもいろいろな恐竜を知っていたぞ!!