「法学概論」講評会

2014年02月16日 15:14

2月17日の備忘録。

 10時26分、駅構内の吉野家でハム納豆定食 400円を食べる。

 9時43分、京都大学から電話連絡。

 10時30分から12時55分まで、RAUM オアジで書類仕事をこなす(32→33ブース)。

 

 10時54分、駅前のサンクスで以下のものを購入。

  クラフト封筒長形3号20枚入       210円

  切手80円×3                 240円

  切手10円×6                  60円

 16時20分から17時まで、やらなくてもいいのに「法学概論」解答の講評会を行う。

 上掲の写真は、優秀答案のネタに、教室に集まってくれた学生諸君に配布した高森さんの答案のコピー。優秀答案は、極力私は名前を挙げていこうと思う。

(課題1)

Ⅰ.ここで問題は同じ校則違反が原因で退学処分になったAさんとAくんだが、なぜ裁判でAさんは敗訴し、Aくんは勝訴したのかというについてである。事例1のAさんも事例2のAくんもどちらも憲法13条の幸福追求権侵害を学校側に訴えている。にも関わらず、事例1のAさんは上告を棄却され、事例2のAくんは勝訴している。そこでなぜ、同じ権利を主張したAさんとAくんでこれほどの結果の違いが出たのかということを論じてみたい。この結果の違いには大きく2つの要因が影響していると考える。

Ⅱ.この問題に対する見解について考えたい。まず、Ⅰで述べた結果の違いに大きく影響を与えた2つの要因についてだが、1つは主張の内容、もう1つは裁判の争い方にあると考える。1つ目の主張の内容についてだが、事例1のAさんは憲法13条の直接適用を自分の主張の柱としている。これに対して、Aさんは憲法13条の内容を、民法90条の「公序良俗」に違反するとして間接的に適用することを主張の柱としている。もう1つの裁判での争い方については、Aさんは自分のメインとなる憲法13条の直接適用を一番はじめに裁判で主張してしまっている。これに対して、Aくんは自分のメインとなる民法90条を二番目の主張としているのだ。これに対して2つの意見が考えられる。1つは1つ目として挙げた主張内容の方が2つ目に挙げた裁判での争い方よりも、この結果に導いた大きな原因となっているという意見である。ここでまず考えたいのが直接適用説と間接適用説である。直接適用説によれば、学校に公私の区別はないと考え、私立学校(Aさんが通っていたような)も生徒を退学処分にできるなど公立学校と同様に公権力を発動しているとし、憲法が直接適用されるとする。また、間接適用説によれば、私立学校への入学は合意に基づく「私人間契約」であると考え、校則などによって人権侵害のような状態が生じた場合には、直接には民法90条が適用されるとする。Aさんが主張していた直接適用説は一般的な見解ではない。そのため、たとえどれほどの手札の順番を入れ替えても同じ結果だったであろうという見解が1つ目である。もう1つは2つ目に挙げた裁判での争い方が、一つ目の主張の内容よりも結果の違いを導いた大きな要因であるという意見である。たとえば、同じような手札を持っていても最強の手札を最初に提示してしまってはは、それが退けられた場合、すぐに敗訴が決まってしまう。しかしはじめ、それほど強くない手札にしておくとことで最初に負けても、次の裁判過程までに新たな切り札を考えたり、次の過程で最強の手札を出すなどすることができるため、そのまま敗訴してしまうことはなく、裁判を続けていくことができる。このように裁判を一種のゲームとして捉えるゲーム理論的観点からAさんも争うことができれば、裁判を続けることができ、また違う結果を得ることができたのではないかという見解が2つ目である。

Ⅲ.私は1つ目の見解を採りたい。なぜなら、2つ目のゲーム理論的観点を用いて争うことができなかったことを主な原因とするなら、AさんもAくんも最初の主張は憲法13条の直接適用であったことから、Aくんと同様にAさんにも勝訴する可能性があったと考えられるためである。Aさんの今回の主張のメインが憲法13条の直接適用であったという時点で、いくら手札を出す順番を変えてもAさんが勝訴することはないのだ。これらの見解から、AさんとAくんで大きく結果が異なったのは主張の内容が主な原因と考える前者の見解を支持する。

Ⅳ.今回、裁判はある種ゲームであり、ゲーム理論的観点で争うことが重要であることを学んだが、この観点が効果を発揮するのは主張内容がしっかりしているときに限ると思われる。Aさんのように一般的な見解ではない主張を自分の最強の手札にしてしまうと、どれほど手札の切り方を考え、有利にゲームを運ばせようとしても、持っている手札自体があまり使えないため、結局、敗訴してしまうのだ。以上から、私はAさんとAくんで同じ校則違反の事例であるにもかかわらず、勝敗に差異が出たの原因は主張の内容に主にあると考える。

                                                               -以上-

 若干の手直しを加えた。

 この答案を読んで、おそらく法学部の教員と、それ以外の教員では評価が異なるであろう。しかし、上記答案は訴訟法も、憲法も学んだことのない教育学部の1年生が書いたものである点を考慮してもらいたい。かつて、親友の栂坂英樹氏と法律学の学習に関してセンスが必要であるかについて議論したことがある。たしかに、試験に強い連中はいたが、それとセンスの有無はあまり関係ないのではないかという一応の結論に落ち着いた。ところで、それは法学部法律学科内に生きる者での評価問題にすぎない。上記答案を見る限りでは、そのようなインナー・サークル外に所属する高森さんが直感的に「手続」法と「実体」法の違いを理解し、それを自分なりに表現しようとしている。内部的視点だけではなく、外部的視点を考えるならば、これってセンスの問題じゃないかな、と考えさせられた。

 17時45分、駅構内の吉野家で以下のものを食べて帰る。

  こく旨カレー 並                330円

  Aサラダ・味噌汁セット            120円

  ポテトサラダ変更                30円