センター試験二日目
1月20日の備忘録。
午前7時前に起床し、身支度を整えてからタクシーで本務大学に向かう。今度は、予備室監督者の点呼よりも1時間早く大学に到着した。
ハッキリ言って、主任監督者と副主任監督者あるいは裏方の入試実施委員は大変な精神的・肉体的プレッシャーを受ける仕事であるが―かつてはわたしも務めたことがあるが―、病気で予備室監督者にまわったので、体調不良の別室受験者が出なければ控室で待機という楽をさせてもらった。
とは言え、その間に内職をするわけにもいかず、楽しみは休憩時間の雑談であった。前に書いたように、わたしは法学部に勤務しているわけではない。したがって、研究領域での話が他の先生方と必ずしも合うわけでもなく、また価値観も異なることが多いが、とにかく先輩の先生がよく言うように専門店ではなく、雑貨店のような学部なので他の分野の話を聴けることは役得である。小野先生と尾崎先生の細菌、菌糸類等の微生物の話はなかなか興味深い話であった。要約すると、尾崎先生の質問は細菌などはいかなる目的で生存・発展するのかというもので、これに対して小野先生の回答は上記のような原始生命体にはそのような目的は端的にはないというものである。まさに、わたしが学生時代に流行った「自己的な遺伝子」の話などを引き合いにして、それこそ寄生木や、いやそれ自体のセルから核が飛び出して発展を続けるというのである(自己の同一性の否定か)。
これは下記のブログでも取り上げた、寄生木寄生型で自らを変形させるとするならば「エイリアン」の話に繋がるし、寄生木を取り込んでいって自らを変形させるならば「遊星からの物体X」や『寄生獣』の話に接続してくる。厚かましく、わたしが先生方の話に割って入ったのであるが、それでは動植物の性質によってあるモノの概念を分類してきたアリストテレス以来の種の分類はどうなるのか、またその発展上にあるリンネの分類はどうなってしまうのかを質問した。そもそも尾崎先生は種の起源、あるいは種の進化の目的に興味を抱いておられるようであった。そうこうしているうちに、自然科学と哲学の話は重要だが、現在のカリキュラムでは授業で話せないなどということで休憩時間が終了した。尾崎先生の寅さん理論は、アリストテレスの説明に使えそうなので利用させていただきます。
お弁当は、四季亭のお弁当であった。
無事に、午後4時半過ぎにセンター試験の最終科目「数学②」が終わり、その確認も済んだのでわれわれは、主任監督者と入試実施委員を残して解散し帰宅した。
まずは、瀧澤入試実施委員長をはじめとする先生方をはじめご苦労様でした。聴くところによると、同じ国立大学法人でも二日、全教職員がセンター試験をしているとは限らないそうなので、その意味では地方大学の教員は恵まれていないと言えよう。それだけに、センター試験は大学の教職員の一体感を増すひとつの役割を果たしているといえるのかもしれない。