今年度最後の日

2013年04月01日 12:00

  3月31日の備忘録。

  なにか一冊、研究とは違う本を読もうと思って、中野剛志氏の『国力とは何か』を読む。内容的にはデュルケームの社会理論が出てくるので、デュギーやオーリウの国家と社会の関係と結びつくため―職業病か―、結局はネオ・トミストの国法学の議論と異ならなくなり、自分の読み方が研究の環から離れていないことに気づく。また、愛国心の話も出てくるから国家パトリオティズムか、憲法パトリオティズムかという議論に帰着し、まったく当初の読書目的とは異なり、研究の一環となってしまう。こうなれば、開き直ってこれも研究だといって新書を読むのだからたちの悪いことわるいこと。某先生がよく言うことであるが、引退するまでは映画を観ても、小説を読んでもこれは論文に使えるか、あるいは講義で使えるかと考えるから、結局、楽しめないというのはある意味で真理である。結構、新書ではあるが完読するのに時間がかかった。しかし、英米をやる人は英訳の本があれば、それで済ましてしまうことがすごい。しかし、それは一次文献にあたっていないのではないのか、等と考えながら今年度最後の一日を過ごす。