初講義
1月7日(月曜日)
2019年三村信男学長年頭挨拶
時代の転換の年に、さらなる飛躍をめざして
2019年1月7日
新年、おめでとうございます
皆様には、よいお年をお迎えのこととお慶び申し上げます
今年は、時代の転換点、新しい時代を迎える年です。4月30日には天皇陛下が退位され、5月1日に皇太子殿下が天皇に即位されます。こうして、30年続いた「平成」から次の時代の扉が開きます。同時に、社会では構造的な変化が急速に進むでしょう。AIやロボット、ビッグデータ等の新しい技術がどんどん産業や生活の中に入り、知識基盤社会に向かう流れが大きくなっています。一方、夏の猛暑や西日本豪雨など気候変動の影響が顕著になり、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の実現が政府や産業界の目標になっています。こうした中で、茨城大学は、今年5月に創立70周年を迎えます。このような時代の転換の年に当たって、知識基盤社会の構築を推進する大学として、次のような目標に向かって邁進したいと考えています。
第一に、学生が成長する教育改革の深化と世界に輝く成果の発信です。
教育面では、今年は「iOP元年」です。本学では、3年次の第3クオーターを必修科目を開講しないInternship-off Campus Program (iOP)クオーターに指定していますが、いよいよ本格的な運用が始まります。この中では、学生は自ら計画した学外学習や海外研修、ゼミや古典学習といった発展学習に取り組みます。これは、学生自身による能動的学修に対する、前例のない全学的取組であり、全ての教員のサポートによって成功させる必要があります。
研究と社会貢献では、昨年は様々な取り組みに力を注ぎました。つくばでの世界湖沼会議やベトナムに開学した日越大学での「気候変動・開発プログラム」開設など、多くの機会に地球環境や世界の持続性に関わる研究成果を発信しました。また、1月に研究・産学官連携機構を設置し、1年間で新しいベンチャー企業の誕生や共同研究の推進などの成果を生み出しました。今年は、共同研究の拡大、社会人リカレント教育の開始などによって成果を社会に発信し、地域創生に結実させていきます。
第二は、大学の経営基盤の強化です。
政府の国立大学に関する政策では、大学間連携や人事給与システム改革といった大学の経営改革が焦点になっており、今年は国立大学法人法の改正をはじめ、様々な制度変更が行われる見通しです。この問題は、政府の政策にとどまらず、本学の教育・研究改革を進める上でも、緊急の課題になっていると認識しています。そのため、外部資金や寄附の増加による財務基盤の強化や教員の積極的な業績評価、それに基づく年俸制の導入などについて、教職員の理解を得ながら進めていきます。また、附属学校園を含めた働き方改革も緊急に取り組むべき問題です。このように多くの課題がありますが、課題を整理して体系的に取り組むことが必要です。本学の使命達成と教職員一人一人のワークライフバランスの実現の両立に向けて、全ての教職員の皆さんのご協力をお願いしたいと思います。
第三は、創立70周年事業の成功です。
本学は1949(昭和24)年に開学し、今年、創立70周年を迎えます。1949年は、太平洋戦争の終戦から4年目、未だ戦後の混乱の中にあった時代ですが、旧制水戸高校、茨城師範学校、茨城青年師範学校、多賀工業専門学校が集まって、新制の茨城大学が生まれました。戦後の復興のために国立大学が必要という地域の熱い思いが本学を誕生させたのです。
5月25日には創立70周年記念式典を行い、地域と共に歩み我が国社会を支えてきた本学の歴史を振り返ると共に、第4期中期目標期間に向けた次のビジョンを構想する機会にしたいと考えています。さらに、水戸・学生食堂の拡充、日立・正門周辺の景観整備、阿見・新研究棟「フードイノベーションセンター(仮称)」の建設及び学生の学修・生活環境の整備を完成させます。
以上の様に、時代の転換の年2019年を、一層の飛躍をめざす年にしたいと思います。そのためには、学生にとっては「多様な成長の機会に満ちた大学」、教職員には「働きがいがあり努力が結実する大学」でありたいと思います。開かれた大学運営によってその実現に努力したいと思いますので、教職員、学生、地域・学外の皆様方のご協力をお願いいたします。
最後になりますが、皆様のご健勝とご活躍を祈念して、新年の挨拶とさせて頂きます。