大島渚氏死去

2013年01月17日 10:14

 1月17日の備忘録。 

 原則的に、この日記兼備忘録は1日遅れで記事を書き込んでいる。したがって、ニュース等は数日遅れになることをご了承願いたい。

 この日も前日に続き、大掃除というか書籍・資料の整理に1日を費やす。なかなか、整理がつかないのは書籍よりも、廃棄してよい資料と、廃棄してはならない資料の分別に時間がかかるからである。大学教員という仕事をしていると、入試関連の資料の他に、学生の答案を含めた成績資料を一定期間保管する義務があるので、本当は捨ててしまいたい資料も結局、箱詰めしてそのままにしていることが多い。それと、その分別の途中に、それらを読んでしまい、またまた時間がかかってしまうということである。反対に、無くなってしまったという資料が突然、変なところから出てきたり、といったように部屋全体がビックリ箱のような状態である。

 おととい、報道されたように映画監督の大島渚氏が今週死去した。わたしはヌーベル・バーグの作品は嫌いで、氏の作品はほとんど観ていない。しかし、法律を勉強しているので猥褻表現と、その検閲との関係で氏の「愛のコリーダ」事件は当然のことながら知らないわけではない。

 ここで面白いのは、判例で学んだ事件に出てくる作品は昔は時間があったからか、一応読んでいるということである。澁澤龍彦訳のサド侯爵『悪徳の栄え』、三島由起夫『宴のあと』、伊藤整訳のローレンス『チャタレー夫人の恋人』、ノンフィクション『逆転』などは読んでいるし、映像作品も入手できるものは観賞している。また、大学時代の友達に総務省の官僚や、税関関連の役人がいるので、いわゆる検閲で引っかかった作品も読んだり、観たりする機会にも恵まれた。とはいえ、余ほどの好き者でないとこれを何冊も、あるいは何本も連続して読んだり、観賞したりするのは正直言って飽きてしまう。「美人は三日見ると飽きるが、ブスは見飽きない」というのは嘘だと思うが、前者の部分は当たっているのではなかろうか。生物学的には正しいかどうかは別にして、人間もよい子孫を残したいので、本来的には同じカップルで第一子、第二子……と子供を作りたくないそうである。それに歯止めをかけているのが、宗教上、倫理上のモラルであると言われている。

 それは措いておいて、大島氏といえば「朝まで生テレビ」で野坂昭如氏とともにキレるおじさんであったことが有名だし、一般にはテレビの報道で繰り返して放送されているように大島・小山の結婚30周年記念で祝辞を忘れた野坂昭如氏と殴り合いの喧嘩になったことで知られているのではないか。それと、わたしは学者であるので関心があって覚えているのであるが、大島氏は京大法学部を卒業した時に、猪木先生に助手に残してもらうように頼んだが、猪木先生に断られて映画監督の道に進んだということである。このパターンは、前原誠司氏が高坂先生に助手に残してもらうように頼んだが、高坂先生に断られて政治家の道に進んだのと同じコースである。ちなみに、猪木正道先生は昨年末に98歳で天寿を全うしたんだね。その意味では、あまり学者の逝去はマスコミで報道されないように思える(とはいえ、団藤重光先生と星野英一先生の逝去は大きかった)。いずれにせよ、氏のご冥福をお祈りします。

 夕方に、アマゾンで注文しておいた亀本洋『格差原理』とトイプナー『結果志向の法思考』が届く。これで、またこの本をどこに置くのかという問題が発生するが、研究者を続けている限り、ペダルをこぎ続けていないと倒れてしまうのでこれも宿命と言えよう。

 (追記)

  左下の二本目の奥歯が完全に欠けてしまった。病気でカルシューム不足となり奥歯ががたがたになっていたが、ついに最初の犠牲者が出てしまった。