大掃除
1月15日の備忘録。
午前11時半頃、タクシーにて本務大学に向かう。ついてすぐ、生協の散髪屋でいつものようにおばちゃんに髭の手入れと洗髪をしてもらう。
午後2時40分から1時間半、第4時限の講義をはじめる。レジュメのネタが尽きたので平等原則について話をして、学生に来週は質問コーナー、再来週は定期試験であると告知する。課題については、以下の2つを提示しておいた。
課題3
スタンリー・キューブリック監督「博士の異常な愛情」を素材にして、平和主義に関してゲーム理論、とくに「囚人のジレンマ」ないし「チキン・ゲーム」の理論が有効に機能するか否かを論じなさい。
課題4
功利主義によって人権を基礎付ける場合、「人間の尊厳」の原理とって不都合なことはないのか、具体的事例を挙げてその可否を論じなさい。
明らかに、課題3を試験当日に出題すれば冬休みの課題レポートと内容が重なるのでサービス問題となる。しかし、果たしてわたしがこの問題を当日の試験で出題するかどうかは未定である。
今週末にセンター試験が入るので、授業開始・終了のチャイムがおかしかった。
午後4時20分から1時間半、第5時限の講義をはじめる。前回の講義で、学説の紹介でプログラム規定説から具体的権利説の説明の途中でチャイムが鳴り、抽象的権利説の説明が不十分であったのでその続きを朝日訴訟、食糧管理法違反事件、堀木訴訟などの具体的判例を開設しながら解説した。個人的には、抽象的権利説の説明には私人間効力論の間接適用説における「公序良俗」規定の価値充填との類似性を指摘するのが有効であると思っているので、今回もそれに即して説明した。テキストの『基本的人権の事件簿』に掲載されている秋田生活保護費給付訴訟は地裁判決ながら、筋がいい理論を展開しているので解説しやすかった。こちらも、課題について以下の2つを提示しておいた。
課題3
平等原則の「合理性の基準」の目的テストと手段テストとの関連で、仮に動物愛護という目的から現在における新生類憐みの令ともいえる法律が国会で成立し、その罰則規定において人間以外に動物に加害行為を加えた場合、死刑を含める重罰が科せられると規定されていたとするならば、この法律は合憲か違憲かを論理的に論じなさい。
課題4
平和的生存権が認められるとして、その場合、この権利は消極的権利として認められるべきか、それとも積極的権利として認められるべきか、両者のメリット・デメリットを衡量した上で論じなさい。
タクシーにて帰宅。午後8時から午後10時半までかけてベット周りを大掃除。業者に清掃を頼むとしても、最低限の礼儀として少しはきれいにしておかなければならない。センター試験までの3日間は大掃除という予定である。それにしても、書籍とコピーの分量が半端ではないので大学の研究室と実家に分置するために箱詰めして宅急便で送らなくてはならない。50,000冊ということはないが、それでも30,000冊ぐらいはいまのマンションにあり、その半分が箱詰めのままである。この機会を逃すと、ゴールデン・ウィークまで整理する暇がない。とにかく、この備忘録を書き込んでいる時点でも疲れるだけで、整理が遅々として進んでいないのが現状である。
それと、年賀状もかなりの枚数になってきたので、ファイリングしなければならないだろう。
(追記1)
年賀状については、清水睦先生、江橋崇先生、大隈義和先生、石川健治先生等、旧住所に年賀状を送付したようでマンションに戻ってきてしまいました。失礼をお詫びいたします。
(追記2)
生類憐みの令については、わたしが本務大学に赴任した年に出版された山室恭子『黄門さまと犬公方』(文春新書、1998年)が詳しい。
ちなみに、現在においても生類憐れみの令ではないが、動物の愛護及び管理に関する法律が存在しその目的が第1条に規定されており、その違反の罰則が第44条以下に規定されている。
目的:この法律は、動物の虐待の防止、動物の適正な取扱いその他動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止することを目的とする←至極まっとうな目的
手続:1.愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。2.愛護動物に対し、みだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる等の虐待を行つた者は、五十万円以下の罰金に処する。3.愛護動物を遺棄した者は、五十万円以下の罰金に処する←上の目的を達成する手段としてはバランスがとれている。