師走
12月1日の備忘録。
9時4分に、近くのマクドナルドで以下のセットを購入。
ソーセージエッグマフィンセット 500円
ソーセージエッグマフィン
ハッシュポテト
アイスカフェラテM
午後1時から午後5時まで、県立図書館で「国語学」のレポートをまとめる。
第1章 問題の設定
私は、生まれは東京で、父の転勤の関係で義務教育は小学校から高等学校まで大阪ですごし、大学から大学院時代の10年間は東京で生活し、現在は縁あって茨城で就職し、そして生活の拠点を置いている。また、父母はともに愛媛出身で、大学・短大は東京であったので私が小学校までそのまま東京で生活し、その後、現在に至るまで大阪で生活している。このようなことからも分るように、私自身は東京、大阪および愛媛の俚言については生活体験からある程度は理解できるが、茨城の俚言についてはそんなに詳しいわけではない。しかし、本レポートの課題は「地元の方言(俚言)」を取り上げるものであるから、あくまでも文献によって知りえたものを取り上げざるをえなかったことをあらかじめお断りしておく。職場は、その90%以上が他の県の出身者で占められ、地元の若者自体が私の接する場合では方言を使わないということも付言しておく。
第2章 地元の方言特有言(俚言)
まず、地元の県立図書館や市立図書館に行ったがそこに置かれていた方言辞典は平山輝男編『全国方言辞典①』(角川書店、1983年)と『全国方言辞典②』(角川書店、1983年)であった。①が県別方言の特色であり、②が県別人体語彙の体系であることから、これをもって地元の方言特有語の中で使われなくなってしまったと思われる語彙を三つ選ぶことは難しいと思った。そこで、こども用の本ではあるが真田信治監修『方言の絵辞典』(PHP研究所、2006年)を他の事典類と対比させて、三語を選んだ。
(1)コマル(茨城県)=「疲れた」
「疲れた」ということは、西日本を出身とする父母は「エライ」と言うし、又、初等・中等教育時代の大阪の同級生も「エライ」と言っていた。さらに、大学時代の東北出身の同級生は「コワイ」と言っていた。しかし、上述の『方言の絵事典』では、茨城県では「疲れた」ことを「コマル」と言うらしい。事実、私は茨城に赴任して10年以上経つが、同僚が「コマル」と言っているところを聞いたことがない。同書によれば、コマルは「困る」ではなく、「込まる=中に入ったままになる」が転じたものであると説明されている(同27頁)。この俚言がなぜ使われなくなってしまったか、自分なりに考察するならば「込まる」という意味にあると推測する。大辞泉によれば、仮に「コマル」=「込まる」=「籠まる」であったとしても、⑤の「気体などが外に出ないで、いっぱいに満ちる」。「充満する」ということになり、反対に気力充実ということになってしまい意味が反対となる。また、ワープロ、あるいはPCの普及によりこの文字選択は通常ではないだろう。
(2)コロゲル(茨城県)=行く、歩く
これも『方言の絵辞典』で知った。仮にこれが「車をコロガス」というのであれば、自動車を運転するということで理解できないわけではない。しかし、同書によると「行く」ことも、「歩く」こともコロゲルということである(同44頁)。これも大辞泉で調べてみると「ころげる」=「ころがる」=「ころころと回転しながら進む」ということになる。用語例では10円玉がころがるということになっており、円型のものが回転するということになる。したがって、人間は足が車輪ではないので、このような俚言は現在では使われなくなったと推測される。
(3)「イバララギ」=「茨城」=「イバラキ」
篠塚晃一監修『ひと目でわかる方言大辞典』(あかね書房、2009年)によれば、茨城の方言、特にその発音においては、「か行」と「た行」の音がにごるとされる。例えば、えき(駅)→えぎ、くき(茎)→くぎ、はた(旗)→はだ、もち(餅)→もぢというようにである(同92頁)。したがって、茨城は風土記以来、「イバラキ」であるが、「イバラキ」と発音される。たしかに、「茨木」は「イバラギ」であるが、「茨木」は「イバラキ」のはずであるが、発音上は両者とも「イバラギ」ということになってしまう。しかし、他所者である私が、特に教員である私が、学生に対して「茨城」を「イバラギ」と言うと顰蹙をかってしまう。これは、地域教育あるいは郷土史教育の賜物ということではないか。したがって、年輩者の発音がにごっていたとしても、その文字上の表記は「イバラギ」であり、これもまた地元の方言特有語の中で使われなくなってしまった語彙であると言えるのではなかろうか。
最後に、使われなくなった俚言との対比で、現在も使われている、特に私がよく聞く俚言としては「ごじゃっぺ」=でたらめなというものがあることを記しておこう。
第3章 むすびにかえて
『ひと目でわかる方言大辞典』によれば、方言を実際に調べるためには、まず調べる単語を決めて、それを年齢、いつからその地域に住んでいるのかを確認した人に対する「聞き取り調査」を行うべきことをアドヴァイスしている。職務の関係上、このレポートを書くために、教え子にこのようなアンケートをすることははばかられたので、もっぱら書籍による知識にとどまってしまった。これが、このレポートの残された課題であると考える。
-以上-
<参考資料>
①真田信治監修『日本語の豊かさにふれる方言の絵辞典―全国のことばを使ってみよう』(PHP研究所、2006年)
②篠崎晃一監修『ひと目でわかる方言大辞典』(あかね書房、2009年)
③金田一春彦監修『新レインボー方言辞典』(学習研究社、2002年)
④井上史雄『世界のなかの日本語⑥日本の方言、世界の方言』(小峰書店、2006年)
⑤石塚・川口・新貝・中川・中城・廣川編『【江戸~明治】昔のことば大事典―歴史や名作文学でよく見るモノや表現2000』(くもん出版、2011年)
⑥平山輝男編『全国方言辞典①県別方言の特色』(角川書店、1983年)
⑦平山輝男編『全国方言辞典②県別人体語の体系』(角川書店、1983年)
⑧茨城新聞社編『茨城県大百科事典』(茨城新聞社、1981年)
⑨村松明監修『大辞泉(増補・新装版)』(小学館、1998年)
(追記:2014年2月1日)
講評 堀先生 合格←よかった
生活体験をもとにした上で、多くの先行研究を調査し、課題をよく整理されています。特に顕著な例を選んで記述されている点が、よく工夫され、論をわかりやすく展開されたポイントでした。
17時46分、Hearth Brownで以下のパンを購入。
カリカリカレードーナツ 160円
彩り野菜とバジルのタルティーヌ 280円
「白州に咲いた母子草」を観る。