日本国憲法/現代人権論レジュメ 第三時限目

2019年04月03日 11:51

第三時限目(13:00-14:30)

 日本国憲法の三大原理・原則


 日本国憲法の三大原理/「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」/原理は三つに限定されるのか/『あたらしい憲法のはなし』の神話/ドイツでは、①自由の原理(Grundsatz der Freiheit) ② 民主制原理(Grundsatz der Demokratie)③  人権・基本的自由尊重の原理(Grundsatz der Achtung der Menschenrechte und Grundfreiheiten) ④ 法治国家の原理(Grundsatz der Rechtsstaatlichkeit) /日比野勤「基本価値論争をめぐって―現代西ドイツ国法学界管見―」(芦部信喜先生還暦記念『憲法訴訟と人権の理論』(有斐閣、1985年)843頁以下)/美濃部達吉によると①「国民主権主義」②「永久平和主義」③「人権尊重主義」④「国会中心主義」/宮沢俊義によると、「民主主義」を統合原理とする①「個人の尊厳」②「国民主権」③「社会国家」④「平和国家」/清宮四郎によると①「民主主義」②「自由主義」③「平等主義」④「福祉主義」/詳細は、篠田英明『ほんとうの憲法─戦後日本憲法学批判 』 (ちくま新書、2017)/そもそも、書かれていなくても「権力分立」や「罪刑法定主義」も憲法の重大原理では/近代立憲主義の内容の一つとして日本国憲法に盛り込まれた平和主義(9条)についても、独自の解釈を示した。法律には、たとえば「ある通りが駐車禁止になっているかなっていないか」など回答が一義的に決まる準則(ルール)と、「表現の自由」のように一義的に決まらない原理(プリンシプル)の2種類があり、9条は原理だと説く。その上で、9条について「『一兵たりとも許されない』との準則(ルール)ではなく、常備軍を置くとしても、必要最低限にしなくてはならないとの原理だ」/


 「国民主権」とは/「国民主権」からではなく「主権」から理解する/正当性の契機につきるものではなく、国家の最終的な意思決定を行う権力国家の最終的な意思決定を行う権力を行使する権力的契機の二つを含む/「国民主権」とは、国家の最終的な意思決定を行う権力の所在が国民にあるということ/語源から考える/Democracy →demos kratia demos = people+kratia = sway,institution(governing) 民主制(政)、政治制度 ※民主主義は誤訳/外国語の学習の仕方/ theocracy ,monarchy、aristocracy 、 monocracy /われわれの時代の森一郎『試験にでる英単語 -- 実証データで重大箇所ズバリ公開』(青春出版、1975)から鉄緑会編『鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁』(角川学芸出版,2009)に至るまでの定番/最近では、『英単語の語源図鑑』(かんき出版,2018)/わたしは英語科の教員ではないので、はなしはここまで/「直接民主制」と「間接民主制」/どちらが「原則」で、どちらが「例外」か/たとえ話/物理的限界と能力的限界/物理的限界/1億2000万人収容できる施設が存在するか/アテネは成年男子のみを市民にしていたから、アゴラ( Ἀγορά)での討議が可能/インターネット投票/カスケード効果やコンコルド効果を考えると懐疑的/ルイ16世の国王裁判/361対360の1票差/人は勝ち馬に乗りたい/カイジ/関東軍の言い分/「日本の一番長い日」/能力的限界/「君主主権」から「国民主権」への移行/君主は一人だが、国民は多数である/サザエさん/タラちゃん、イクラちゃんには政治的決定権があるのか/タラちゃんは利益誘導の可能性が、イクラちゃんは死票の可能性が/モブは信頼に足るのか/フランス革命の恐怖政治/メアリー・シェリー/山本政喜訳『巨人の復讐 フランケンシュタイン』(新人社, 1948)/そう考えると、わが国の憲法では「間接民主制」が「原則」で、「直接民主制」はそれを補完するための「例外」と考えるべき/例外として考えられるもの/①第79条2項(最高裁判所裁判官の国民審査)最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。②第95条(特別法の住民投票)一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。③第96条1項(憲法改正)この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。/理論的な例外の提案/例えば、国会議員の解職(リコール)請求権(せいきゅうけん)や国民による法律案提出権の導入など/特に、櫻井大臣の以下の発言は大問題である/「衆議院内閣委員会では、立憲民主党が、サイバーセキュリティーを担当する桜田オリンピック・パラリンピック担当相をただした。/ 立憲民主党(会派)・今井雅人議員「自分でパソコンをお使いになってますか?」/ 桜田五輪相「私は、25(歳)の時から独立してやっておりますので。常に、従業員あるいは秘書に指示することでやっておりますので。自分でパソコンを打つということはありません」/ 立憲民主党(会派)・今井議員「パソコンもいじったことがない方が、サイバー空間のセキュリティー対策をするなんて、とてもわたしには信じられない」/桜田五輪相「私の事務所、国、総力を挙げて総合的にやることであって。落ち度はないと自信を持っている」/国会は法律を作る立法機関であることを自覚していない/


「平和主義」/「平和主義」とは/平和主義の説明/その歴史/判例/ゲーム理論/日本国憲法の三大原理に序列はあるのか/マックス・ヴェーバーの「価値相対主義」/「超兵器R1号」と「博士の異常な愛情」/「基本的人権」の尊重の説明は、明日以降に行う/   etc/16時50分から再開



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