日本国憲法
2月5日の備忘録。
8時50分から10時20分まで、「日本国憲法/現代人権論」の講義を行う。
講義の具体的内容は、いつものようにリアクションペーパーを掲載することによって代えることとする。
・1つ1つの事件は、とても難しそうに感じるけれど、すごくかみくだいて説明してもらえるので、わかりやすいです。
身近なことに置き換えた説明もすごく好きです。(教育・Kさん)
・春休みに語学研修に行ってしまうので、今日が最後の講義でした。私の今までの勉強不足(政経が好きではなかったので)から、内容が難しいときもありましたが全体的に分かりやすい説明で少しは理解が深まった気がします。
ありがとうございました。(教育・Iさん)
・正直この授業を受けはじめた頃は、なんでリアクションペーパーとかあるんだろう、早く授業進もうよなどと思っていましたが、今では毎回リアクションペーパーを読むのが、楽しくて勉強になります。この授業の魅力はリアクションペーパーと先生の楽しいお話だと思います!(教育・Kさん)
・最高裁の判例を見てると正直こんなことが最高裁まで争われるのか…と思う判例もいくつかあり、おもしろいなと思います。
日本は西洋の法律を参考にしていることが多いですが、文化も歴史も全くちがうのだから上手くいかなくなるのも当然だなと私も思います。(教育・Dさん)←それを日本と違うからといって、西欧で生まれた近代立憲主義思想と日本の法制度の間に一線を画すか、それとも世界標準となった近代立憲主義思想に基づく法制度で調整を図るのかは大切な論点です。
・普段わりとニュースをよく見るのですが、今回の先生のお話を聞いていて改めて、マスコミの言うことを鵜呑みにしてしまってはいけないのだな、と感じた。(教育・Hさん)
・先週HEROについてのリアペを書いたものですが、講義中に取り上げて頂いて嬉しかったです。あのドラマの中で証拠不十分などという言葉をよく耳にしましたが、それがいかに問題かよくわかりました。ドラマの主人公・久利生公平が、起訴するのに、しっかりと検証して、起訴・不起訴を判断していたシーンには、検察が起訴をするからには有罪にしなければならないという事がよく表れていた気がします。←しかし反対に、検事が絶対に起訴した被告人を有罪にしなければならないということの行き過ぎを皮肉ったのが逆転裁判シリーズの狩魔父・娘、御剣、ゴドー検事というキャラクターであることも知っておきましょう。
また、先生は講義中によく、死刑に処する為には人を殺しているという事実が必要だと言っていましたが、極論かもしれませんが、ハンムラビ法典のような考えが正当ということになるんですかね?「目には目を、歯には歯を」、つまり「死には死を」そういう風に解釈してしまったのですが、良いんでしょうか。(教育・Oさん)←いわゆる「刑の権衡」の話ですが、これはハムラビ法典とは異なります。すなわち、犯した罪が殺人だから死刑というわけではなく、殺人であってもかならず死刑というのではなく、最高刑が死刑までありうるということです。したがって、財産罪で死刑はあり得ません。分かりやすく言えば、命と、その他の法益のトレード・オフができないことをいっているわけです。
・最近、ドラマ「リーガル・ハイ」を見直したところだったので、今日の話は私の中でタイムリーで、いつにもまして先生の話が面白く感じました。裁判官は公平で、独立しているのはドラマをみても感じられました。明らかに作り話のような証言でも、それを裏づける証拠である、あるいはそれを否定できるような証拠・証言がなければ、それを判断の参考にしていたからです。検察の人も、不正?(証拠の捏造など)は検察側で行っていて、裁判官を巻き込む、裁判官もぐるだ!ということはひとつもありませんでした。裁判官を味方につけて手回ししなかったのは、司法権がきちんと独立しているからなんだと実感しました。あと、あまり関係のない話なのですが…たとえ無罪であっても、証拠を捏造されてしまったら、どうあがいても有罪になってしまいます。(ドラマの中では、古美門先生がその不正の証拠をつかんでくつがえしていました!)すごく怖いなあと思いました。現場検証などに携わっている警察・検察の手にかかれば、無罪の人でも有罪にすることは可能だと感じました。(教育・Kさん)
・「性差別をなくすことは、身分差別をなくすことより難しいなー。」という事を考えました。身分差別は、その人の能力に関係なく、身分で差別されてしまいます。これはいけないことですが、男女の間には、あきらかに、力の差などの男女による「性質の違い」のようなものがあるため、完全になくすのは難しいと思います。
百里基地事件の主張は、明らかにおかしいと感じました。(農学・Hさん)
・授業冒頭のアファーマティブ・アクションの話が興味深かったです。
良い意味での差別も良いと思いました。(教育・Kさん)←「良い意味での差別」は「差別」とは言わずに、「合理的区別」といいます。
・司法権の独立と裁判官の独立について、大津事件を例にとって説明していただいたので、とても分かりやすかったです。(教育・Tさん)
・判例だけを見ると、何が司法権の独立につながっているのか分からないが、説明をつけるとつながりが見えて、おもしろい。(教育・Sさん)
・大津事件の口頭説明がとてもユニークで分かりやすく、おもしろかった。先生の授業は板書もシンプルで印象に残りやすいし、口頭説明があって分かりやすい。
来期の実習では少し先生のような授業展開を参考にしてみようとなど感じた。(教育・Kくん)
・政府の権力が強く、今よりずっと恐ろしい存在であった時代に、政府の介入・干渉を退けた児島惟謙はとても勇気ある人物だと思いました。結果的に、児島さんが処罰されたりしなくて良かったです。(教育・Kさん)←実は後日、児島はサイコロ賭博をしているところを現行犯逮捕され、大審院を退きました。そののち、児島が作った私立の法律学校が現在の関西大学です。
・大津事件の例を聞いて、裁判官の独立ということに初めて意識を持った。確かに言われてみれば、誰にも干渉されない裁判官の独立があって、初めて司法権の独立につながるのは至極当然のことである。私達が司法権の独立を考える上で、裁判官の独立を意識しなかったのは、現在の日本が、正統な法治国家であり、全ての人が、裁判官の独立が、当たり前のことであり、意識する必要のないものであるからと思った。
このように考えると、法が整備され、それがきちんと運用されているということは、当たり前のように思われるが実は非常に危ういバランスで保たれており、それを保つために、様々な仕組みが運用されているのが分かった。(教育・Sくん)
・大津事件と恵庭事件は高校の時に学んでいて、今回の講義でさらに詳しいことが聞けて、さらに理解が深まりました。
罪刑法定主義は、当時の裁判に大きく関わっていたと、いうことで、罪刑法定主義について、もっと知りたいと思いました。罪刑法定主義では、どんなことを犯罪とみなしていたのか、調べてみたいと思います。(教育・Iさん)
・先生の講義はおもしろいのですが、朝に弱くて、いつも聞きそびれてしまいます。1限でない授業であったら、こんなに遅刻しないです。申し訳ありません。←そう思うのであるならば、私ではなく、大学に対してアクションを起こしてください。
「罪刑法定主義」について、私は「直感的に悪だと思っても、法で決まっていなければ罰せられない」ことについて、少しもどかしく感じます。法ぎりぎりのラインを詰めようとすると、悪徳な企業や個人が絶えないことを考えると、何か策はないものかと考えます。一方で、ラインがしっかり決まっていないと、解釈によって裁けるかが変わってしまうと、野蛮であるとも感じます。
私は高校で倫理しかやっていないので、「大津事件」を知らなかったのですが、司法権の独立の実際の基盤となったということで、覚えておこうと思います。
「裁判官がいくら公平公正でも、検察が行政であることから、行政に関する訴えには、検察官が十分な証拠を提示しない」という事に関して、検察審査会はどこに属しているのか気になりました。検察審査会が行政で、癒着していたら、いたちごっこになってしまうと思います。少し調べてみます。
・なぜ恵庭事件が無罪になってしまったか、その説明がよく分かりました。確かな証拠がなければ裁きたくても裁くことができない、中立でなくてはならないことを感じました。
何年か前、週刊誌の記事で名誉毀損をされたとして訴えた島田紳助の裁判があり、控訴が取り下げられた、という事件があった。裏付け取材が不十分、ということであった。私はこの事件をよく理解している訳ではないが、週刊誌というものは時に攻撃的で、個人情報を流出させる危険なものだと日々感じる。週刊誌は何か権利があって、あんなことをどんどん書けるのですか?訴えられても仕方ないとも思います。でも週刊誌が勝訴する。どうしてこんなことになるのでしょうか。くだらない質問すみません。(教育・Uさん)
・裁判官は世間知らずの方が良いという先生の考えに驚きました。でも裁判員制度の話を聞いて納得しました。(教育・Kさん)←理解してもらうために、極論を言いました。
・大津事件について先生は話していましたが、実は私は大津事件について知りませんでした。まだまだ教養が足りないなと実感しました。←未履修か(笑)
昔、弁護士などの法律に関わる仕事に就きたいと思っていた時期があり、今回先生が「裁判官は独立していて、また上司からの圧力がない」と聞いて更に魅力を感じました。教師にしても他の職業にしても上司からの圧力は想像するだけで嫌ですね。裁判官といえば、以前、裁判員制度というものが話題になっていましたが、私一般市民から選出して、裁判を行うというこの制度に対してあまり良い印象をもてませんでした。専門知識がないのに、裁判に関わることに何のメリットがあるのでしょうか。例え簡易裁判所や家庭裁判所で行われる裁判であろうとも、しっかりと最後まで本当の裁判官が行うべきだと思う。←簡易裁判所と家庭裁判所についての理解ができていないので、しっかり勉強しておいてください。
関係ない話ですが、先生は裁判官制度についてどう思っているか知りたいです。(教育・Nくん)
・八百屋や魚屋に裁かれたくないというのは自分が裁かれる側になったとして考えるなら真っ当な考えだと思う。日本の司法で透明化すべきなのは裁判ではなく、その前の取調べではないかなと思う。→検察官は行政官なのですね、知りませんでした。←法務省検察庁です。意外と、知らない人が多い。しかし、裁判官と検察官が同じ権力基盤に立つならば、公平性の信頼が著しく損ねられます。ここに、検判交流の問題点があります。
中国の死刑制度が厳しいのは法治国家ではない証とありましたが、麻薬の取引を死刑にするのは人を殺してはいけないとはいえ阿片戦争等の歴史を考慮すると仕方がない部分があるのではないかと思います。児島惟謙が三好判事に対して司法の独立を守れと言ったことで裁判官の独立が侵害されたという指摘があるというのは歴史の教科書にも載っていたが、児島惟謙が元人斬りで、刀まで持ち出したんじゃアウトだなと思った。百里基地の件XからしたYはホントなんなんだろうって感じだったんだろうなぁと思うし、Yは何がしたかったのか全くわからないし、教科書でやるにはあまりにも内容がお粗末過ぎるのに憲法解釈の事例になっているのは笑い話になっても仕方ないと思う。(教育・Mくん)←土地売買事件なので裁判という土俵に乗り、土俵に乗った以上、裁判所は判断をしなくてはなりません。問題なのは、事件内容がお粗末でも、裁判所がどのような理屈で判決を下すかということです。事件自体のスジの良さと、判決の重要性はあまり関係ないということ!それは、前回見た、警察予備隊違憲訴訟の説明で理解してもらえたと思います。
その他、大津事件に関して以下のようなリアクションがあった
・ロシアの皇太子はなぜ琵琶湖に行きたがったのかが気になった。(教育・Hさん)
・なぜ津田三蔵はニコライ2世を斬りつけなければならなかったのかお聞きしたい。(教育・Oさん)
14時40分から16時20分まで、「法学演習」の講義を行う。今日は正規のゼミの最終日であったが、出席者と相談した結果、現在読んでいる『カール・シュミット入門講義』の続きを来年度も継続して講読することに決定。したがって、正規ゼミ員がいなくても、ゼミ自体は継続することになる(ここがミソで、慶應義塾大学に内地留学していた時期を除けば、これで15年間ゼミ活動自体は続いている)。
(撮影:中野弘紀くん)
中野先生
冠省。一年間お世話になり有り難うございましたました。有意義な時間を与えていただき深謝いたしております。50年振りに学生気分に戻り若返ったような感じがいたしましたが、一方理解力や記憶力の衰えは如何ともし難いしものがあることも実感させられたところでした。今年度少し助走が出来ましたので、来年度はもう少し頑張ってみようと思料いたしております。引き続き宜しくご指導の程お願い申し上げます。お送りいただきました写真良き記念となります。重ねて御礼申し上げます。
K口
中野雅紀先生へ
「法学演習」ありがとうございました。
写真受け取りました。
来年度の演習にむけ、私なりに、予習します。
K池
18時1分、駅構内の吉野家で牛すき鍋膳・並 580円を食べる。