法学概論
10月28日の備忘録。
午前10時前に、本務大学に到着。
印刷室で、今週配布する予定の、水曜1時限目の「日本国憲法/現代人権論」用のレジュメを印刷する。
リ・リアクションペーパー 2013.10.30.
(文責 中野 雅紀)
(教育・Aさん)
「質問をくわしく解説してくれてありがとうございました!
とてもていねいに話してくれてよかったです。
成績はノートにしてくれるとうれしいです。」
(回答)
あなたのような意見もありますが、授業をどんどん進めろという、下記のような意見も少なからずありました。ここしばらくは、リアクションペーパーの皆さんの記述を参考にして進度を決めていきたいと思います。
このまま、丁寧に進めろという意見
「リアクションペーパーにここまでひとつひとつ丁寧に、リ・リアクションを行う先生は初めてだったので驚きと関心をもちました。前回の授業のポイントになる所を、自分以外の人の質問、疑問への解答、解説で復習することができるので、とても良いと思います。先生の熱い解説がすごく圧倒されました。写真やイラストがたくさんあって、イメージしやすく、わかりやすかった。次回も頑張りたい」(Kさん)
「リ・リアクションペーパーとして、自分の考えていなかったような見方をたくさん知ることができた。前回の内容の理解を深めるために、みんなで作る授業という感じがすごくよいと思う。三大原則のことについて考えたことがなかったので、考えてみたいと思う」(Kさん)
「リアクションペーパーの質問に対して、一つ一つ丁寧に説明して下さったので、色々なことの理解が深まりました。ありがとうございます。
先生にお願いがあるのですが、リアクションペーパーの生徒の感想や意見について先生が反論していたとき少し怖かったです…(笑)
先生の意見に少しぎもんに思い自分の主張をしただけなのに、あそこまで反論されると、この意見を書いた子がまちがいで、先生の考えに反する考えはいけないもののようにとらえてしまいます。マイクを使用しないで大声で話しているので、そう聞こえてしまいがちだからだと思うのですが、この質問を書いた生徒の名前もでていますし、もう少しやさしく主張していただけるとありがたいです。わたしが少しびんかんになっているのかもしれませんが、聞いていて少しドキドキしてしまいました…。先生の話しかたが聞きやすく、頭に入ってきやすいため、そのようにかんじてしまうのかもしれません…。大変申し訳ないです」(Kさん))
早く進めろという意見
(教育・Hくん)
「リアクションペーパーの回答を聞いて、かゆい所に少し手が届いたような気がしました。しかし、授業自体が進まなかったので進めてほしいと思いました。」
「リ・リアクションの時間が長すぎると感じた。丁寧にプリントに回答してくださっているので、ポイントのみ解説し、残りは各自で読むという形で大丈夫ではないかと思う。前回の授業である程度理解できていたので今日の授業は何をしたかったのかよく分からなかった。
他の授業でD201の教室が1月20日頃から使用できないと聞いたのだが、この授業はどうなるのか。集中で行うのか、他教室で行うのか早く知りたい」(Aさん)
集中を2月12日の第2時限目に共通教育棟で行う予定です。教室は、決まり次第、掲示板に貼り出しますので、注意しておいてください。
(教育・Aくん)
「そもそも、なぜ教育学部生には日本国憲法が必修なのでしょうか。延いてはなぜ教師となるのに日本国憲法を学ぶ必要があるのでしょうか」
(回答)
あなたの質問は、きわめて本質的な問いと言えるでしょう。本心では、わたしも日本国憲法が必須科目である必要はないと思っています。一般生活では、憲法よりも民法の方が役に立つから、法律科目では民法を学んだ方が実益があるでしょう。しかし、一方においては多くの初等・中等教育の教師は公務員であり、憲法99条によって「憲法遵守義務」を課せられています。したがって、このような問いを発するあなたのような学生は、強制が伴わなければ日本国憲法の勉強をしないかもしれません。それを防ぐために、日本国憲法を必須科目にしているのだろうと推測されます。
もし、この問いがわたしの講義を受けたくないのに、受けさせられているという不満であるならば、この講義を受けずに、他の先生の開講している「日本国憲法」を履修してください。
(教育・Iさん)
「今日の講義は、前回のリアクションペーパーに対する解説でしたが、その中には私もよく分かっていなかった事もあったので、理解が深まりました。
裁判で「判決」の方には口頭弁論があり、その方がドラマにしても面白いとありましたが、現在水曜日には「リーガルハイ」という弁護士ドラマが放送されています。確かに次々と互いの言い分を言い合う法廷シーンは楽しいのですが、1つ疑問があります。リーガルハイにしろ逆転裁判にしろ、裁判官は両陣の言葉を書き留めたりしている様子がありません。判決文は自宅で書いているという話でしたが(補足:宅調のことか?)、そこに至るまでの弁論は、裁判官は聞くだけで判断しているのでしょうか。それとも、資料などが事前に配られているのでしょうか?」
(回答)
さっそく、「リーガルハイ」を観てみました。感想は、とりあえず措いておきます。
ところで、あなたの質問の要点は「判決文は自宅で書いているという話でしたが(補足:宅調のことか?)、そこに至るまでの弁論は、裁判官は聞くだけで判断しているのでしょうか。それとも、資料などが事前に配られているのでしょうか?」だと思いますが、まず起訴状などは事前に裁判所に提出された書面で、主張内容を裁判官は読んでいます。つぎに、裁判官の前に裁判所事務官がいて、その人たちが弁論を速記で記録しています。したがって、裁判官はメモを取る必要はなく、その速記を打ち直した法廷記録を読めばいいわけです。
午後4時20分から午後5時50分まで、「法学概論」の講義を行う。
今日の講義の内容は、『基本的人権の事件簿』の第3事件である。受講生の感想は、リアクションペーパーによれば以下のようになる。
・今日は同性愛の自由についてやったが、同性愛については私は今までなんとも思っていなかった。もし身近に同性愛者がいたら、色々と考えていたのかもしれない。私は、同性愛であろうが、それは個人の自由であり、差別をするのはおかしいと思う。
前回の復習で、違憲立法審査権は最高裁だけではなく、高裁・地方裁判所も持っていることを知った。なぜ最高裁だけが持っているのかというと疑問に三審制があると言っていたが、そもそも三審制はなぜできたのだろうか。他に、絶対的平等はよくないとされているが、憲法15条と44条に限り認められていが、認められている内容について詳しく知りたかった(Mさん)。
・今日の講義では同性愛という難しい題材をもとに違憲立法審査権や平等について考えた。高校までの知識では、あたかも高等裁判以下の裁判所は審査権を一切与えられていないという解釈をしがちであったが、今日の講義で、その考え方が誤っている可能性について示唆されたということは、とても有意だったと考える(ただ、このことを高校以下の学校でいかに教えるのかが難しいと思うが)。平等についても、ある意味当然のことではあるが、でも知識としては定着されていないことについて解説されてよかったと考える(Tくん)。
・本日の講義で受忍限度はのび太とジャイアンの例のように、いじめたほうがこの程度のことは耐えることができるからという理由で受忍限度を主張することはできないということがよく分かりました。また、今回の判例にあった同性愛のことを含め、人種、性別、宗教、身分、門地のような個人の努力ではどうすることもできない事柄を差別とみなす条件だということも分かりました(Mさん)。
・「差別」という言葉の本当の意味を改めて知ることができました。努力しても変えられないものなんていくらでもあると思うので、憲法に書かれているのにもっと付け足していくべきだと思います。日本なんかでは宗教なんかやめたり入ったり自由にできるのに差別対象になるなんて少し変だという気もしました(Kさん)。
・ジャイアニズムっていうのは今考えると、すごく理不尽なもので、人権侵害なんだなと思った。絶対的平等や相対的平等といったものの基準というものはどのように設定されているのか、詳しく知りたいと思う。また、司法というのも、異性愛者の者と、同性愛者の者で価値観というのは変わってくるのではと思う(Kくん)。
・同性愛の問題について、今回の授業で取り扱われたが、この原因としては、異性愛が当然であると決めつけられた上での考え方の存在があるためであり、同性同士の恋愛が人間に全くない訳ではないのであるから、改めて自分の考え方にも疑問ができた。
結果、偏見から生まれてしまった問題なので、裁判が気になるところである(Tさん)。
・私はずっと「差別は悪だ」と単純に考えていましたが、今日の講義でその理由や根拠を自分なりに考えることができました。たしかに、差別というのはグレーゾーンが多く難しいことです。しかし、これについてはいじめも関係しており教員を目指す身としてさらに考えを深めていかなければならないと思いました。
また、平等の種類について改めて知ることができ良かったです。差別と同じように、私はずっと「平等は善だ」と単純に考えていましたが、これについてもやはり法という面からも深く考えていかなければならないと思いました(Iさん)
・まず、今日の授業でなるほどと思ったこと。憲法81条が最高裁判所だけに認められているのではなく、高等裁判所、地方裁判所にも認められていることを知ってそうだったのかと改めて知ることができた。数々の裁判がある中、確かに一審で終わるものはなかなかないし、その理由から最高裁判所だけに……と見えてしまっていたのかと理由も納得できた。
また、同性愛の自由のお話も「受忍限度」の説明、また、ジャイアンとのび太を例にとったお話だったので分かりやすかった。最善策があるのに受忍限度がどうだとは言えない!スッキリ!(Tさん)
19時2分、駅構内のHearth Brownで彩り野菜とバジルのタルティーヌ 280円を買って帰る。