火曜日

2013年04月23日 11:05

 4月23日の備忘録。

 

 

 

  「シャンタル・ムフ(1943-)に言わせれば、『政治』とは、異なった価値観の集団が自らの主張を通そうとして、闘いを繰り広げる闘いのアリーナです。アリーナの広さは有限なので、押し出される人たちもいる。すると、押し出された人たちは、アリーナの形を変え、自分たちが登場できるような設定にしようとします。そのために闘いを仕掛けます。それに対して、現にアリーナの上にいて、民主的討議で一定の役割を果たしている人たちは、現在の形を守ろうとする。『民主主義』の本質は、そうしたアリーナをめぐる縄張り争いです。ムフは、そうした自らの民主主義観を、『闘技的民主主義agonistic democracy』と呼んでいます。彼女の観点から見れば、公共的な『闘技』を積み重ねることによって、『自由民主主義』が次第に充実し、社会的『正義』についての合意が形成されるとするジョン・ロールズ(1921-2004)やユルゲン・ハーバマス(1929-)など、リベラル左派の議論は誤魔化しです。民主主義が『他者』排除の上に成り立っていることを直視していないからです。」(024)