集中講義第三日目

2013年09月25日 11:17

 9月19日の備忘録。

 

 

 

 

 今日の講義内容については、以下の学生のリアクション・ペーパーを挙げることで足りよう。以下、養護コースの学生さん、健康コースの学生さんおよび国語科の学生さんのリアクションペーパーの内容です。

 

 (リアクションペーパー1)

 「「リンカーン」を見て、リンカーンの憲法改正への強い信念と情熱に胸を打たれました。リンカーンの生きた時代の歴史について詳しい知識がないままに見たので理解できない部分もあったのですが、とても興味深く面白かったので予備知識をつけた上でもう一度見たいです。南北戦争というアメリカ合衆国の残虐な内乱、武力戦争が行われていた中で、このような政治闘争があったという事実を知り、また、先生が講義の中でおっしゃられていた“憲法改正はどさくさにまぎれて行われてきた”とはこういうことなのかと思いました。下院議会で合衆国憲法13条の修正案を批准させるまでは戦いを終わらせないという決意のもとで、いろいろな手段を使って賛成票を工作する政治的駆け引きがされていたことは正直衝撃的でした。今日本でも憲法改正について取り上げられているけれど、その裏でもこのような工作がされているのだろうか、と思いました。彼は勝利のあと悲劇的に死んでしまったけれど、彼の残した功績は本当に大きなものであるし、現に今の米国大統領がオバマ氏であることかをリンカーンがもし知ったとしたら驚くだろうと思います。彼のような理念をつらぬく強い気持ちを持った者が歴史には必要であったし、日本の総理大臣も近年なんだか弱弱しく感じてしまうので、彼のように何としてでも理想を実現させるくらいの芯を持った人が必要なのではないかと思いました。映画と事実ではもちろん異なる部分もあるとは思いますが、リンカーンの一部を知る良い機会となったので、彼が大統領になるまでの経緯などについてももっと知りたいです。」(Sさん)

 

 (リアクションペーパー2)

 「今回はじめて「リンカーン」をみて、法の下の平等について考えさせられた。奴隷解放宣言は黒人だけの問題でなく、すべての人々に通ずる問題だと感じた。正直、今の自分が置かれている立場では、奴隷という存在自体、理解することができない。日本国憲法においては基本的人権が保障されているため、私たちにはこのような格差はないが、この時代のアメリカの憲法13条改正があったために、今の自分たちの権利が保障されている。そう考えると私たちが生まれつきあたり前となっていることが、多くの犠牲をはらったものでありとても重みを感じる。このように、生まれつき平等であるというような環境のなかで生活しているため、個人的に差別などはありえないという考えが強い。リンカーンがこの憲法改正を可決するために裏工作のようなものを行っていたことに関しては良いとは言えないかもしれないが、この憲法改正の可決はその当時のアメリカだけでなく、現在の日本にも影響を与えているとなると非常に重要なものだったと言えると思う。

 これによってアメリカにおける平和の基盤が築かれ、人権が保障されたことは歴史的にも大きなことであり、それを成し遂げたリンカーンはとても偉大だとも感じた。リンカーンの“人民の人民による人民のための政治”が現在に与えた影響は大きく、それがあったからこそ今の平和があるのだと思う。

 人種差別などに関しては世界的にみれば完全になくなったとはいえないかもしれないが、平和のためにも根絶させることが必要だとも感じた。」(Sくん)

 

 (リアクションペーパー3)

 「リンカーンというと、私の中では奴隷解放の父というイメージとともに、インディアンに対しての排除政策のイメージがあります。映画では平等を訴える面を強く感じましたが、それならばインディアンの件はどうなるのかと思いました。

 当時のアメリカでは、インディアンは人権を議論される場にすら立つ存在ではなかったのでしょうか。黒人に対する差別とインディアンに対する差別の元々の理由など、明確な知識を今まで持っていなかったので、調べてみようと思います。

 今回の映画にしてもそうですが、表現の仕方などで事物のイメージは大きく違ってくることを痛感しました。マスコミ報道や映画・舞台など、人間が関わってくる以上は、その人の見方が影響してくるので、一つの媒体だけではなく、色々な物から考えを受けとっていきたいと思います。」(Kくん)

 

  今回の講義の主眼は、ある議論を行うのに際して、一つの観点からのみ判断すると、そこにかけられたバイアスに気付かずに事物を判断してしまう可能性があるので、懐疑的な心を持ちつつ、複数の観点から総合的な判断を下すことが必要であるという点を理解してもらうところにあった。

 

参考

 アメリカ合衆国憲法修正13条

 第1節 奴隷制もしくは自発的でない隷属は、アメリカ合衆国内およびその法が及ぶ如何なる場所でも、存在してはならない。ただし犯罪者であって関連する者が正当と認めた場合の罰とするときを除く。

第2節 議会はこの修正条項を適切な法律によって実行させる権限を有する。