「トト・ザ・ヒーロー」
2月12日の備忘録。
午前9時前に起床。ということは実質、3時間しか寝ていないことになる。
NTT東日本とのネット使用料金の払い込み手続に疑問があったので、土曜に電話して確認したのであるが、休日は電話業務を行っていないために平日となった朝一番に電話して質問と、銀行からの自動払込み手続の申請をおこなう。これは、いまの若い訪問者の諸君には理解しにくいと思うのだが、昔は電話加入料というのはバカ高く(30万はしたし、債権の代わりにもなった)、わたしが大学生になって上京したとき、父の電話加入権で下宿に黒電話をひき、その後、日本電話公社がNTT西日本とNTTドコモに分かれても回線はNTT東日本のものを利用し続けたために、自宅のインターネット回線と電話回線はNTT西日本に支払っていたということに起因する。したがって、わたしの使用電話は「サザエさん」のシーンでしか観られないダイヤル式の黒電話のままである。つまり、この関係で回線使用料の請求書・払込書がわたしのところではなくて、実家に配送されてしまうのである。さらにまずいのは、わたしが3年前に大病で長期入院したこと、退院してしばらく療養のためにホテル住まいにしたこと、駅北口から駅南口にマンションを引っ越したこと、そのすぐ後に東北大震災が起こったことが重なって、郵便事故が多発するようになったことである。このために、年賀状と転居届を一緒にするのも拙かったが、年賀状に引っ越したことを明記して出したのだが、年賀状が不在通知で戻ってきたとの苦情を受けることも多くなってしまった。ましてや、業者に年賀状を出すことはないので、手続の更新などがない場合、旧住所宛に郵便物が届けられることも多かったようである。
ところで、郵便ポストを見てみると大学院時代に英米法ゼミでお世話になったO先生からの年賀状に対するお礼状が届いていた。気になったのは、O先生が退職を前にして大病で静養されているということである。 わたしがO先生から受けた薫陶は、「大学院生は大学生と違ってエリートである自覚をもて」という一言に尽きる。ゼミ生としては褒められた院生ではなかったけれども、先生のご回復を心よりお祈りいたします。
その他にも郵便物やメールのチェックをして、自宅マンションで処理できることは処理して、メールで連絡して雑務をこなす。
午後から、ジャコ・ヴァン・ドルマル監督「トト・ザ・ヒーロー」のDVDを観賞。
この映画も東京に住んでいた時に、名画座で観た作品のひとつである。
この映画の主人公トト(トーマ)は同じ日に生まれた資産家の息子アルフレッドと赤ちゃんの時に発生した火災で取り違えられたと思い込み、自分の人生を盗んだアルフレッドに復讐することだけを目的に生きていくが、そのアルフレッドも実はトトの生活を羨んでいたことを知り、最後にはアルフレッドに死ぬ前に本当の自分を返してもらうといって、アルフレッドを監禁して彼に変装することで破産したアルフレッドを殺害しようとする殺し屋に自ら射殺され、焼き場で焼かれてその灰を撒かれ自由になるというストーリーである。この映画の題材は結構重いが、フランスのシャンソン「ブン」がBGMで使われているのでそう感じさせないところがよい。隣の芝は青いということわざを地で表したような映画である。ドルマン監督の映画は、これとダウン症俳優のトトの弟役が主演の「八日目」を観たことがある。
とにかく、咳が止まらないので大事に至らないように自宅で仕事をこなしながら、空き時間を使ってDVDを観ているが、あまり生産的な一日を過ごしているというわけではない。風邪を引くと、病気の関係で免疫抑制剤を飲んでいるので完全に動けなくなる。五月雨式に仕事が入ってきて、長期休暇も取れないことも問題である。それでは、おやすみなさい……。
(追記)
このブログの書き込み時間は実質は30分程度である。ただし、記憶に完全に依拠して書いているだけなので、後で誤った記述を書き換えていることは正直に告白しておかなければならない。しかし、ブログで日記や備忘録を付けている以上、この内容にもいわゆるカッコづけのある記述があることは否定しない。もちろん、嘘は書いてはいないが。したがって、山下先生から教わったのであるが、研究に際しては日記は自分を美化するので信じるのは半分、その弟子が書いた評伝は自分の師を美化するので八割程度しか信頼してはいけないということである。結局は、ヘーゲルではないが「世界法廷」の場でその人物の評価は定まるということなのであろう。