10月21日の備忘録。
午前8時半に、自宅マンションを出る。
午前9時過ぎに、三菱東京UFJ銀行に行き預金をおろし、家賃を払い込む。
午前9時半から午前10時まで、内藤クリニックに2か月ぶりに検診を受けに行く。
午前10時に、本務大学に到着。
午前10時半から午前11時まで、授業アンケートに対する、教員の自己点検表を作成する。
ちなみに、先週受け取っていなかった夏期集中講義「日本国憲法/現代人権論」の学生の自由記述は以下のようなものであった。
・時々アニメなどのネタが入ったりしていてとても親しみやすく受けることが出来ました。
・資料がとても充実していて、これからの勉強にずっと役立てていきたいと思いました。授業を通じて憲法に興味を持ちました。講義を受けてとてもためになったし受けて良かったです。ありがとうございました。
・マイクを使っていただいてありがたかったです。
・今まであまり憲法に無関心でしたが、講義をうけてとても興味がもてた。日本人として知っておくべき知識をもっとみにつけようと思います。少し授業の進度がおそくて困りました。
・もう少し条文について解説して欲しかった。
・授業とても楽しかったです!
・いろいろな例をとりあげていてとても聞きやすかった。もう少し板書を…。
・先生の知識の量がすごいです。集中の4日間で一気にまとめてくれたので内容も分かりやすかったです。
・大事な連絡事項こそマイクを使って頂きたかったです。
・思っていたよりもくだけた授業で楽しかったです。今回の授業でわからなかった部分は個人で学ぶようにしたいと思いました。
・思っていたよりも楽しくできました。最後の日だけ急いで進めていたので、理解が追い付かず、大変でした。
・とても面白く社会学に興味を持つことができました。世界史を学びなおそうと思いました。
・ありがとうございました。
・先生の熱意のある授業は少し難しいものではありましたが、興味深くおもしろかったです。ありがとうございました。お体を大事になさってください。
・ご病気お大事にしてください。ご自愛くださいませ。
とりあえず、集中講義の自由記述↑を読んだので、自己点検表を作成し教養センター事務に提出する。もちろん、センターに対する意見書は提出した。
しかし、センターのアンケート調査一覧を見たが、法律学の一般教養科目の学生アンケートは軒並み学生の評価が低い。これは、わたしが指摘するように一般教養と専門を分けずに学生に配当しているからと思われる。お金がない、非常勤を雇えないという理由で、われわれ専任が法律学分野の教養を複数担当しているのであるが、習熟度履修にしなければ出来のわるい学生に足を引っ張られて出来のよい学生への要請に応えられなくなってしまう。悪貨は良貨を駆逐する。ここら辺りを意識してアンケートを取らなければ、調査のための調査、点検のための点検という無意味なものになってしまうであろう。
お昼は、大学近くの宝島でビビンバ定食を食べて済ます。
午後4時20分から午後5時50分まで、「法学概論」の講義を行う。
先週取り上げた『基本的人権の事件簿』の事件1と事件2の箇所を、わたしなりに整理し、板書しながら解説した。ちなみに、この部分で重要な点は基本的人権の私人間適用の問題と、どうして事件1のA子さんは敗訴し、事件2のAくんは勝訴したのかということである。
今日の講義の内容は、受講生のリアクション・ペーパーによれば以下のようなものになろう。
・私が、前回、今回と授業を受けて思ったことは、法学は、思っていたより、堅苦しくないということだ。
先生が、授業中に、憲法にしばられたくないようなことを言っていた。私はそれを聞いて、憲法がないと、世の中は成り立つことができないんじゃないかと思った。でも、そのようにも思えるのかなと思った。
前回の授業で思ったことだが、もし、自分が訴えられて、裁判をすることになったら、先生に弁護してもらいたいとなんとなく思った。でも、法学の先生というのは、こういう人なのかなという疑問も感じた。
法の秩序で、「命令」という言葉が出てきたが、あれは、どういった命令なんですか?(Tさん)
・今回の講義を聞いて直接民主政は不可能であるということが分かりました。具体的な例として、古代ギリシアが直接民主制が出来たのは、人口が少なかったこと、幼い子供たちに選挙が与えられないのは、タラちゃんやイクラちゃんのように政治的判断能力、批判能力がないからだという説明があり、分かりやすかったです。充填ということの説明がよく分からなかったです。(Mさん)
・投票率の話を聞いて、なるほどな、と納得した。独裁体制時の投票率が100%に近いということに驚いた。選挙時のニュースで無投票にも意味があるという言葉が出てきて、ただ投票率が高ければ良いってものではないと思った。
直接的適用説をとるか間接適用説をとるかで、裁判の結果が大きく変わってしまう理由がよくわかった。公序良俗についても、よく耳にするけれども意味を説明しろと言われたら難しい。日本は欧米の憲法を真似していますが、米・仏・英・独の憲法の主なちがいは何ですか。(Sさん)
・私人同士の関わり(契約)に公法が使えないということが改めてわかったのだが、犯罪などが起こったとき、だいたいの場合、刑法が使われるが、あれは被害者と加害者の間で起きた私人同士の問題になるので、公法である刑法が使えないという風にならないのはなぜなのかということが気になった。
また、社会的権力である法人などに直接適用説を使い、どのように戦うのかということが気になった。
全体的に図がわかりやすく、面白かった。私的自治の原則がフランス革命以降からつづく、近代国家たるために必要不可欠なものであることがよくわかった。(Tくん)
・憲法・法律について、なぜ同じ法律をもとにしているのに弁護士の見解がそれぞれ異なったり、裁判での争い方が違ったりするのだろうと、ずっと思っていました。しかし、今日までの授業を受けてその疑問が少しわかったような気がします。
事件1についてAさんの弁護士は直接適用説を主張していましたが、その主張が通ることがありますか。(他の裁判において仮に主張されたとして)最高裁の判例がくつがえされることはないのですか。(Iさん)
・先生の「サザエさん」を取り上げた話がおもしろくて、とてもわかりやすいと思った。確かに、タラちゃんやイクラちゃんのように相手に反する意見を言ったりするような政治において必要な能力を持っていない子どもまでも選挙に参加させることはありえないことだと思ったし、仮に直接民主制を取ったとしたら国が混乱して大変危険なことになると感じた。難しい話をわかりやすく、ズバッと話してくださるので、授業がおもしろいです。(Tさん)
・今までなんとなく使っていた「人権」と「権利」の違いが分かった。私的自治の原則が確立することは近代の資本主義社会には必要なことかもしれないが、自分で決めたものにしばられてしまうのは嫌だと思った。
私は間接適用説は言い訳っぽい学説だと思った。いくら直接適用説は認められないと言っても憲法の価値や精神を入れていったら直接適用と変わらないのではないかと思う。
法秩序の三角形を初めて見たので覚えておきたい。充填?の意味がむずかしかった。(Sさん)
・個人的には「法的安定性」という言葉の意味に興味を持った。我々国民は国会が定めるところの法律によって行動を抑圧されているが、国会議員は我々国民の代表であるから、その国会議員が定めた法律に抑制されることはあたり前である。それを自己拘束の理論というが、自ら選んだ人に抑圧されることを嫌い、法律を犯す人もいる。自分で自分の首をしめているようで、難しいと思った。
違憲立法審査権は最高裁判所のみに与えられた特権であると思ったが、全ての裁判所が持つというのは驚きであった。「憲法の番人」である最高裁判所だが、違憲立法審査権は全ての裁判所にあるのだから、全ての裁判所は「憲法の番人」と言っても間違いではないのかと疑問を持った。(Dくん)
・以前に、スイスのある地域では直接民主制をとっているという事例を耳にしたことがあり、政治・経済の資料集には広場に大人数が集まって多数決をとっているという写真を見たことがある。そのために直接民主制をとることはそれほど困難なことではないのではと非常に容易に考えていたが、今日の講義をきいてそれは大きな誤りであることに気づいた。直接民主制が行われている例はごく稀であって、人口がごく少数の地域のことであり、人口が1億人を超える日本では到底考えられるものではないと改めて実感した。
講義の中で興味深かったことは「自己拘束の原則」である。多くの選挙区に分かれており、自分が指名できる議員候補が限られている中、他の選挙区の当選した人が自分の意思と大きく異なる場合には間接民主制である点で自分が自分の首をしめていることになる。国民がある程度の国政に参加する意味がある点で、この問題は仕方がない面であると思う。(Tくん)
ランダムに参加者31名のなかから、リアクションペーパーの記述を抜粋した。講義での説明がうまく伝わっていないことも分かり、リアクションペーパーは次回講義の最初の復習の部分で使えそうである。
O先生のブログを久しぶりに覗いてみる。少しだけ、勘違いなさっているので一言。
これが最新号ではなく、すでに第8号が刊行されています。