1月11日の備忘録。
午前11時ごろに、宅配業者がアマゾンに注文していた以下のDVDおよびマンガを宅配してくれた。
とにかく、買っただけでは梱包したままで死蔵させてしまうので以下の順番で見ていくことにした。
①「電人ザボーガー」(2012年)
これは、おふざけな作品であったが前半部分は特撮物としてよくできていると思った。「電人ザボーガー」は、わたしが小学生の時代にうしおそうじ氏プロデュースでテレビ放送されていた特撮物であった。この当時、午後7時台には民放ではどこのチャンネルを回しても特撮物かアニメが放送されていた。現在は、特撮やアニメは深夜か日曜の朝に放送されているので、ほとんどリアルタイムで観ているものはない(最後に、リアルタイムで観たのは「けいおん!!」だと思う)。うしお氏の作品では、「超人パロムワン」や「スペクトルマン」を観ていた(ただし、スペクトルマンのノーマン編はダニエル・キースの『アルジャーノンに花束を』をいち早く日本に紹介したものであった)。この映画は、最後のテロップでうしおそうじ氏に捧げると書かれていたので、いわゆるオマージュ作品ということになろうか。むかし、伊藤君と実写版「黄金バット」を観たときに、彼は大いなるB級映画と言っていたが、この作品はいまの若い人には元ネタが分からないので面白くないであろう。
②「遊星からの物体X―ファーストコンタクト―」(2012年)
これは、1982年のジョン・カーペンター監督の「遊星からの物体X」のリメイクではなく、そこで舞台となったアメリカ南極基地での惨劇の前に起こった、ノルウェー基地でのエイリアンとの遭遇、その復活そしてさまざまな生物を取り込んではそのコピーを作っていき、隊員を餌食にしていく…、隊員同士がお互いにエイリアンに身体を乗っ取られているのではないかと疑い始め、エイリアンとの死闘だけではなく、互いに殺しあうというアメリカ基地で後に繰り返される惨劇がすでに、その数日前に行われていたことを巧妙に描いている作品(これはゲーム理論の説明にも有効)。なぜ、1982年の作品の冒頭でノルウェー隊員がライフルで執拗にライカ犬を攻撃するのか、どうしてエイリアンと遭遇したのか、前作を丹念に検討して作られただけに一見に値すると思われる。
この映画の原作が、ジョン・キャンベルJRの1930年代の『影が行く』という小説であるのも驚きだが、このようなクリーチャーものをシリーズ化して成功してるのは「エイリアン」ぐらいしかない。本当は、「エイリアン」は地球に到達し、地球上の全生命体に卵を産みつけているという『エイリアン―地球殲滅―』の脚本が書かれたといわれているが、20世紀フォクスがドッグ・バスターやヒューマン・バスターのようなクリーチャーのうようよ出てくる映画は予算が取れないという理由で中止してしまった。ま~、ヒロインのリプリー役のシガニー・ウィバーも年齢が年齢だけにその続編は期待していないのであるが。
この作品では、主人公がケイトという極地生物学の女性研究者になっているところは「エイリアン」シリーズの影響を受けているのかもしれない。補足すると、先の備忘録の書き込みで諸星大二郎の「生物都市」との類似性を指摘したが、「物体X」のエイリアンは機械とは融合できないので、そこのところが諸星氏の発想がすごいところ。
③「フライトナイト」(1985年)→「フライトナイト」(2011年)
見よ、われらのグレート・ヴァンパイアーキラー、ピーター・ヴィンセントの雄姿を!
オチ、ヴァンパイア―「信仰の籠らぬ十字架など効果はないわ」
ハッキリ言って、このリメイク版は駄作であると思った。1985年度版は、主人公のチャリーよりもピーター・ヴィンセントのロディ・マクドウォールだと思うし、彼がヴィンセント役をやっているからこの作品は面白いのである(平野耕太『ヘルシング』で言えば、神の神罰の代行者・アンデルセン神父に当たる役どころであり、声優で言うならば野沢那智がピッタリである)。実は、マクドウォールは「クレオパトラ」ではオクタビアヌスを演じ、「猿の惑星」シリーズではチンパンジーのコーネリアス博士役を務めた名脇役である。「フライトナイト2」では、ダンドリッジリの姪が復讐にやってくるが、連れてきた怪人が一方が狼男であるのは分かるが、もう一方の正体が分からないのであたふたする場面が面白い。わたしの子供時代ではドラキュラ役がクリストファー・リーで、ヘルシング教授役がピーター・カッシングと固定化されていた(ピーター・カッシングは「スターウォーズ」では初代デススターの提督)。この1985年版のラストのオチは秀逸なのに、それも2011年度版では省略されていてまったく観る価値がない、あるいは時間を浪費したと思い立腹した。
リメイク版におけるピーター・ヴィンセントは、アンデルセン神父の戦闘能力は受け継いでいるが、性格的にはわたしのイメージにまったく合わない。
https://www.youtube.com/watch?v=P9hNPG0s9Ig
④諸星大二郎「諸星大二郎自作短編集 彼方より』(2004年)
上述したように、諸星氏の代表作「生物都市」所収の氏の自選短編集。これ以外では、「とおりゃんせ」の歌詞の謎に迫った「天神さま」が好きな作品。確かに、「行きははよいよい、帰りは怖い」の「怖い」の意味は不可解である。このマンガはこれ以上は多くを語らない。読んでください。
⑤安彦良和『天の血脈』①(講談社、2012年)
安彦さん、『ガンダムORIGIN』の連載を終わったら歴史物ですか。あとがきでは、本人も歴史漫画家のようなことを書いているけれど、それならばグレコ・ローマン時代を題材に書いてもらいたいな。
⑥諸星大二郎『画集 不熟』(河出書房新社、2012年)
諸星氏のあとがきによれば、「不熟」ということばは存在するらしい。
カバー表紙裏の高橋葉介氏との対談は読み飛ばす可能性があるので要注意。高橋氏もわたしの好きな漫画家です。
高橋葉介HP:https://blog.livedoor.jp/planet_of_blackness/
以上、この日は映画とマンガの日でした。